前々回、前回とロングポジション(買建て)とショートポジション(売建て)の勝率を集計してみました。そこから利確とロスカットの設定ピップスによる基本的な勝率をご紹介してきました。
もういちどおさらいの為に、前回まで使用してきた勝率表を貼っておきます。
利確pips | ロスカットpips | Long勝率(%) | Long負率(%) | Long平均保持時間(時間) | Short勝率(%) | Short負率(%) | Short平均保持時間(時間) |
---|---|---|---|---|---|---|---|
10 | 10 | 39.88 | 60.12 | 3.599 | 39.1 | 60.9 | 3.696 |
20 | 20 | 44.81 | 55.19 | 12.103 | 44.42 | 55.57 | 12.03 |
30 | 30 | 46.33 | 53.66 | 20.03 | 46.52 | 53.48 | 19.892 |
40 | 40 | 47.08 | 52.91 | 29.845 | 47.51 | 52.48 | 29.495 |
50 | 50 | 47.5 | 52.48 | 39.375 | 48.14 | 51.84 | 39.254 |
60 | 60 | 47.85 | 52.12 | 48.353 | 48.48 | 51.5 | 48.197 |
70 | 70 | 48.14 | 51.83 | 62.772 | 48.74 | 51.23 | 62.628 |
これがFXをやるにおける基本的な勝率になります。前回まではここでご紹介した勝率が基軸になります、とお話させていただきました。
じつは、もう一つ注目したいものがあるのです。それはポジションの「平均保持時間」なんです。
私がFXにおいて重要視していることは「勝率」と「売買数」です。利益幅ではないんですね。
FXにおける基本的な戦術は2つあると思っています。
1つ目は「勝率が低くとも一つの売買で利益を大きくとって稼ぐ方法」
2つ目は「利益は薄くとも勝率を上げて小さな利益を積み重ねる方法」
です。
前者は相場の予測が必須となります。トレードを仕事にしているようなプロでしたら市場を分析するだけの知識も技術もあるでしょう。でも僕たちは素人です。知識も技術もない。情報はあったとしても何を見て判断すればよいのかわからない。そこまでの知識と技術があるプロですら勝てないことがあるのですから、正直なところ僕のような素人に相場の未来を予測するなんて到底無理です。そこで僕のような素人が注目すべきは「勝率」と「売買数」だと考えています。勝率が優れた方法を用いて、何も考えずひたすら売買を繰り返し、勝ち負けにこだわらず売買数を増やしていきます。それにより「利益は薄くとも勝率を上げて小さな利益を積み重ねる」ことを目指すのです。
「勝率が優れた方法」については追々考えていくとして、問題は売買数です。
なぜ売買数がとても大事かというと、薄利を積み上げるために必要という理由もありますが、それ以上に、売買数が多ければ多いほどリスクがヘッジされるからです。例えると、理想勝率を50%とした場合、10戦して6勝すればよいですが4勝しかできなかった場合は勝率は40%にまで下がります。1敗すると10%も勝率を下げてしまいます。つまり1敗あたりリスクが非常に大きいのです。一方で、100戦した場合、45勝しかできなかった場合の勝率は45%です。1敗しても1%しか下がりません。売買数を10倍に増やすことで、1敗あたりのリスクが1/10までさがります。このため「利益は薄くとも勝率を上げて利益を積み重ねる方法」という戦略をとる場合、売買数を増やすことが絶対条件になります。
そこで注目すべきは「平均保持時間」なんです。
利確、ロスカットを70ピップスにしているケースを見ると決済までに要する時間は平均で62.772時間となっており、決済までに約2.5日を要していることになります。つまり、このケースで売買数を単純計算すると、年間で、365日 / 2.5日 = 約146売買 できる計算になります。月ベースだと、30日 / 2.5日 = 約12売買 となります。
この売買数の詳細を表にしてみましょう。
利確ピップス | ロスカットピップス | Long勝率(%) | Short勝率(%) | Long売買数(回/年間) | Short売買数(回/年間) | Long売買数(回/月間) | Short売買数(回/月間) |
---|---|---|---|---|---|---|---|
10 | 10 | 39.88 | 39.1 | 2400.7 | 2337.4 | 200.1 | 194.8 |
20 | 20 | 44.81 | 44.42 | 713.9 | 718.2 | 59.5 | 59.9 |
30 | 30 | 46.33 | 46.52 | 431.3 | 434.3 | 35.9 | 36.2 |
40 | 40 | 47.08 | 47.51 | 289.5 | 292.9 | 24.1 | 24.4 |
50 | 50 | 47.5 | 48.14 | 219.4 | 220.1 | 18.3 | 18.3 |
60 | 60 | 47.85 | 48.48 | 178.7 | 179.3 | 14.9 | 14.9 |
70 | 70 | 48.14 | 48.74 | 137.6 | 138 | 11.5 | 11.5 |
この表からわかることは、売買数を稼ごうと設定ピップスを下げれば勝率が下がります。逆に設定ピップスを上げれば勝率は上がりますが、売買数は稼げません(=リスクが増えます)。
さて、例のごとく、この変化をわかりやすくするためにグラフを作ってみます。
勝率比較グラフのようにきれいな二次曲線になっています(というか対数曲線に近いですね)。
このグラフから見て取れるのは、売買数を稼ぐという観点からみると、利確・ロスカット設定を30ピップス以上にしても得られる結果はそれほど増えません。つまり、30ピップス以上にしても失うデメリットに比べて得られるメリットが少ないと言えそうです。
この結果は、前回の「FXはハイorローだから勝率は50%? ~その2~」でご紹介した「設定ピップスは30~40ピップスが一番おいしそう」という結論とも合致してきます。
さて、あなたはこの結果から何を導き出しますか?
次回は、「利確・ロスカット設定ピップス」についてもう少し深く掘り下げて見ようと思います。
お楽しみに!!
今後とも「FXテクニカル分析の不都合な真実」をよろしくお願いいたします!!