さて、前回まで「勝率」と「売買数」についていろいろと考察を重ねてきました。FXにおいて利益確定ピップスとロスカットピップスの設定について、一番おいしいところはどこなのか?前回までの結論で言えば「利確・ロスカットの設定ピップスは30~40ピップスあたりが一番おいしい」という結論に達しました。
ここまできてもう一つ疑問に思うことがあります。利益確定とロスカットピップスは同じでよいのか?
そうです、大勢の方々が盲目的に「利益確定ピップス>ロスカットピップス」にされているのではないでしょうか?
では、利益確定ピップスとロスカットピップスはどの程度の差に設定すればよいのでしょう?
これまた利益確定ピップスとロスカットピップスに差をつけて勝率の集計をとってみましたのでご覧ください。
利確ピップス(pips) | ロスカットピップス(pips) | ピップス差(pips) | Long勝率(%) | Short勝率(%) | 損益分岐勝率(%) | Long平均売買数(回/年間) | Short平均売買数(回/年間) |
---|---|---|---|---|---|---|---|
30 | 30 | 0 | 46.33 | 46.52 | 50 | 431.3 | 434.3 |
30 | 25 | 5 | 41.68 | 41.71 | 45.45 | 487.6 | 492.2 |
30 | 20 | 10 | 36.05 | 36.09 | 40 | 571.4 | 577.8 |
30 | 15 | 15 | 29.04 | 29.3 | 33.33 | 726.8 | 729.1 |
利確ピップス(pips) | ロスカットピップス(pips) | ピップス差(pips) | Long勝率(%) | Short勝率(%) | 損益分岐勝率(%) | Long平均売買数(回/年間) | Short平均売買数(回/年間) |
---|---|---|---|---|---|---|---|
40 | 40 | 0 | 47.08 | 47.51 | 50 | 289.5 | 292.9 |
40 | 35 | 5 | 43.52 | 44.07 | 46.67 | 321.2 | 322.8 |
40 | 30 | 10 | 39.71 | 40.12 | 42.86 | 359.7 | 358.9 |
40 | 25 | 15 | 35.37 | 35.6 | 38.46 | 408.7 | 409.8 |
今回は前回の結果「30~40ピップス当たりが一番おいしい」という結果を受けて、利確30ピップスでロスカットを5ピップス刻みで下げて言った場合と、利確40ピップスでロスカットを5ピップス刻みで下げて言った場合の勝率をだしてみました。また、利益確定ピップスとロスカットピップスに差をつけるということは損益分岐点となる勝率(これ以上の勝率を上げないと損をする勝率)がかわってきます。これも同じ表にだしてみました。
さて、さらにわかりやすくするために、グラフもつくってみます。
いかがでしょうか?
相変わらず目的の勝率には届いていませんが、グラフを見る限り「どんな差をつけてもあまりかわらない」ことがわかります。では、なんでもいいのか?っといいますとそうではないんですね。
それは前回と同じ話題であるポジションの「平均保持期間」が異なってくるからです。
もちろんのこと、ロスカットピップスを下げていけば「平均保持期間」が小さくなってきます。つまり「売買数」を増やすことができるのです(前回お話させていただいた通り、売買数が増えればリスクヘッジの効果が増してきます)。統計上の数値をみると、利益確定とロスカットのピップス設定を0~15まで変化させると売買数は2倍弱まで増加します。このことから、ロスカットピップスは常識的な範囲で小さくする(利益確定とロスカットの設定ピップスを大きくとる)ことが良策といえそうです。ただしあまりロスカットピップスを低く設定しすぎるとスプレッドの影響を受けてしまいますので、あくまで常識的な範囲で設定したほうがよさそうです。
さて、いかがでしたでしょうか?
闇雲に設定していた利益確定とロスカットの値を統計情報に基づいた設定値に見直してみませんか?
ただ、これによって勝率が上がる、というわけではありません。見てお分かりの通り、今までにご提示した勝率では絶対に利益はでません。
ここまでご紹介してきた内容は「転がっているチャンスを美味しく頂く」ためのお膳立てにすぎません。言ってみれば、大きく負けないための基本的なスタンス「防御の型」をご提示したにすぎないのです。これを踏まえた上の「勝つ確率が高くなる戦略」を考えなければなりません。ここからがやっとスタートラインなのです。
次回からは「どうすれば勝率は上がるのか?」について考察していきたいと思います。
今後とも「FXテクニカル分析の不都合な真実」をよろしくお願いいたします!!